新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

全身全霊リベンジなるか

ニッカンのサイトから。

日馬富士 右ひじねずみ手術

 

横綱日馬富士(31=伊勢ケ浜)が26日に、都内の病院で右肘の手術を行っていたことが明らかになった。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が「遊離軟骨、いわゆるねずみの除去手術を受けた」と話した。以前から「電気が走る」と右肘の痛みを訴え、今場所も何度も患部を押さえる場面があった。その腕で、千秋楽の一番では横綱白鵬を倒し、照ノ富士の初優勝と大関昇進をアシストした。9場所も優勝から遠ざかっているが、伊勢ケ浜親方は「右腕が伸びず、得意の突き、押しができなかった。これからまた強くなれる」と期待した。7月の名古屋場所は出場する意向だという。[2015年5月28日9時41分 紙面から]

 「遊離軟骨」「ねずみ」よくスポーツ関連のニュースで耳にする言葉だが、今一つ素人には分かりにくい。元野球選手のブログに分かりやすく書かれていたので、ちょっと引用させていただくと。 

『遊離軟骨』とやらを説明しよう。俗に言う「ねずみ」って呼ばれるアレ。知ってる人もいるかな。関節内でクッションの役目をしている軟骨が勤続的にぶつかる事で奇形して、投球時の何かの拍子に奇形した箇所が欠ける。その欠けた軟骨片が関節内の隙間を動物の鼠のように動き回り関節内に挟まったりして悪さをする。それが『ねずみ』と呼ばれる由縁です。

 

「コビーが行く!!″baseball artist" 小林亮寛の野球放浪記」から)

 毎場所低い位置から飛行機の離陸のように鋭く立ち合い、自分より何十キロも重い相手を突き起こしてきた日馬富士。「今日も見事なロケットスタートの立ち合い」などと観る側は能天気に喜んできた。しかし裏では、右からのノド輪攻めで肘の軟骨は「勤続的にぶつかる事で奇形」し、やがて「何かの拍子に奇形した箇所が欠け」「欠けた軟骨片は関節内に挟まって悪さをする」に至ったわけで。ニッカンの記事にある通り、ここ数場所、取組が終わるたびに右肘を気にする仕草が目立った。軟骨のかけらが挟まっていたと思うと、素人にもそれは痛かろうなと想像できる。なるほどそういうことだったのか。

 

一昨年の九州場所以来賜杯から遠ざかっているのも、横綱としては物足りない。しかしそれ以上に深刻なのは、毎場所の金星配給振りだろう。こちらにまとめて下さっている方がおられるが…。松鳳山や臥牙丸がどんなに喜んでも、観る側としては「良かったね」と思う一方で「相手が日馬富士ではなあ」とつい割り引いてしまう。いささか金星のデフレ状態を招いてもいる。

 

132キロと幕内最軽量の体は、他の力士よりダメージは大きいはずだ。それを勝気な性格で補って頂点まで上り詰めてきた。昨今はダメージが気力でフォローできないところまで進み、衰えも急に目立ってきた。どことなしに、当人のモチベーションも上がっていないように見受けられた。

 

このまま終わるのかな、と思っていた矢先にこのニュース。まだまだ気持ちは萎んでいなかった。残りの現役生活は長くはないかも知れない。しかし土俵に上がる限りは出来ることを精一杯やって、力士生命を全うしてほしい。

 

ふたつよいこと、さてないものよ

 

「ウルフ」の赤い綱作成 九重親方の還暦土俵入りニッカン

 

6月1日で60歳の誕生日を迎える元横綱千代の富士の九重親方の、還暦土俵入り(31日、両国国技館)で用いる「赤い綱」の綱打ちが28日、東京・墨田区の九重部屋で行われた。部屋の力士らが完成させた綱を、実際に締めた親方は「現役のころを思い出すね」とうれしそうに話した。

とても還暦間近とは思えない肉体美を披露した親方。現在の体重は「116~117キロ」といい、現役時代と10キロも変わらない。91年夏場所途中で引退してから24年が経つ。高々と足を掲げるのが特徴的だった雲竜型の土俵入りの所作について「体に染みついていると思う。四股は全然やっていないから、期待しないで。足は上がるわけないじゃない」と笑った。

三つぞろえの化粧まわしは、還暦土俵入りのために新調した。デザインは親方が赤富士、太刀持ちの横綱白鵬が青富士、露払いの日馬富士が白富士となる。「現役の横綱に介添えをしてもらえる。感無量。これだけみんなの手間暇がかかっているのを見ると、無事に務めたいね」と意気込みを語った。

九重親方(元横綱千代の富士)は現役時代、31度の優勝を記録。現役時代には角界初の国民栄誉賞も受賞した。還暦土俵入りは歴代横綱で10人目となる。(2015年5月28日)

 リンク先の写真を見ると、とても60歳の体とは思えない。今でも密かにトレーニングを重ねているように見える。還暦とは言え、みっともない姿は見せたくない。そんな思いが伝わってくる。こうした強烈な自己愛の強さこそ、親方が現役のころ、個人として一時代を築いた原動力となったのだろう。しかし裏を返せば引退後、組織人として夢を果たせずに終わった理由もこの辺りにあったのでは。

 

私は2年前、理事長になっているかな、なんて呑気なことを書いたものだが。まさかの結果に。人間あれもこれも、というわけには行かないのだな。

 

照ノ富士「春雄」の由来を調べつつ

大関照ノ富士が誕生デイリー

 

日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月12日初日・愛知県体育館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、東関脇照ノ富士(23)=本名ガントルガ・ガンエルデネ、モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋=の大関昇進を満場一致で決めた。平成生まれでは初の大関となる。

東京都江東区の伊勢ケ浜部屋に友綱親方(元関脇魁輝)と桐山親方(元小結黒瀬川)を使者として派遣。昇進伝達式で照ノ富士は「今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」と口上を述べた。 新大関の誕生は昨年名古屋場所後の豪栄道以来で、モンゴル出身力士では12年春場所後の鶴竜以来5人目。

(2015年5月27日)

 照ノ富士の下の名は「春雄」である。この名はどこから来たのか。ふと疑問に思い、調べてみる。

 

ベースボールマガジン社の月刊誌「相撲」では場所毎、新十両のプロフィールを紹介している。照ノ富士の十両昇進はおととしの9月場所なのだな。本棚を探すとあった。これだ。

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ジャカルタ巡業なんて最近の話だな。ページをめくると、おお出ている。

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「四股名」の項を見ると「下の名は、伊勢ケ濱部屋後援会長の美術史家山田春雄氏から」とあった。案外つまらない由来だ、といっては失礼か。

 

調べたついでに他のページも眺めると、カラー記事のトップはこの人。

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この場所は高安が新三役だったのか。そういえば「平成生まれ初」というのはしばらくこの人の代名詞だった時期もあった。新十両、新入幕、新三役…平成生まれという割には昭和の力士のような古風な佇まいが、アンバランスで愉快だった。大関の方は今回持っていかれたわけだが。

 

他のページもめくると。

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遠藤がこの場所、新入幕であった。彼も大銀杏となった今、ザンバラ髪もちょっと懐かしい。

 

高安や遠藤が新三役新入幕の時に、ようやく新十両だった若者はわずか1年半弱で大関まで駆け上がってしまった。並外れたスピード出世を改めて感じさせる。

 

だから日本人力士は…とは書けない。彼らが努力しているのは中継を見ていても分かるし、抜群の素質をもった者と比較されては辛かろうと思う。時間はかかるだろうが、じっくりと上を目指してほしい。

 

千秋楽

宝富士が9勝目、来場所の新三役は確定的

 

○宝富士<東前一・9-6>(よりきり)勢<東前十・10-5>●

宝富士左、勢右のケンカ四つ。立ち合い激しい差し手争いから勢右でかっぱじくも、宝富士左を差し勝ち、下手を引いて向正面に寄り立てる。勢俵に詰まりながら右へ叩くが、宝富士腰を落としてよく残し白房に寄り切る。

 

出足に優った宝富士が、逃げ回る勢を難なくしとめた。これで宝富士は9勝6敗。気になる三役昇進だが、決定したとみていいだろう。この日は結局東関脇照ノ富士が大関昇進を決め、西関脇妙義龍は高安を下し負け越し1点。東西の小結栃煌山、逸ノ城が共に白星で勝ち越し1点。西筆頭栃ノ心も勝って宝富士同様勝ち越し3点となった。

 

来場所は関脇に栃煌山、逸ノ城。小結に宝富士、栃ノ心。この2人に敗れている妙義龍の落ち加減は読めないが、張出小結、もしくは東筆頭あたりか。いずれにせよ宝富士の新小結は確定的だろう。


 照ノ富士は碧山を下し12勝目、兄弟子のアシストを待つ

 

○照ノ富士<東関脇12-3>(よりきり)碧山<西前六・9-6>●

照ノ富士立ってすぐ右下手を引いて前へ出れば、碧山右へ回り込み逃れようとするも、照ノ富士左おっつけから上手も引いて捕まえ、東土俵に寄り切る。

 

白鵬と3敗で並ぶ照ノ富士は、勝てば最低でも決定戦、さらに大関取りに持ち込める状況。負けてしまえば不調の日馬富士にすべてを託すしかない。重圧のかかるシチュエーションだが、仁王のような顔で仕切りを続け、自分の相撲を取り切って完勝。つくづく肝っ玉が据わっている。

 

日本人の力士にこんな人は中々…と考えたくもなるが、ファンのプレッシャーをもろに受ける日本人に比べ、所詮俺たちヒール役、と開き直れる強みもモンゴルの力士にはある。そう思うとモンゴル勢の覇権が永遠に続いてしまうような。


 日馬富士の援護射撃で照ノ富士の優勝が決まる

 

●白鵬<東横綱11-4>(よりたおし)日馬富士<西横綱11-4>○

立ち合い日馬富士左前ミツを引くが、白鵬突きたてながらこれを切り、そのまま西土俵に攻めこむ。日馬富士追い詰められた土俵際、突如かがみ込んで伸びあがるように白鵬のふところに飛び込むと、右差し左前ミツで食い下がる絶好の体勢に。一呼吸おいて左をさらに浅く取り直し、白鵬の右差しを徹底的に封じると、正面に出て寄り倒す。

 

日馬富士が白鵬を4敗に引きずり降ろし、弟弟子に初優勝と大関昇進をプレゼントした。先場所もこの2人の相撲は、途中までほぼ同じような内容だった。違ったのは食い下がられた白鵬が右をのぞかせ、半身で堪え持久戦に持ち込んだ点。今回日馬富士の左の攻めは徹底しており、前回の轍は踏むまいとの思いが感じられた。

 

もっとも野暮を承知で書けば、横綱や大関への昇進がかかる力士が現れると、急に力を落としたような相撲を取るのは白鵬によくあることだ。今回もその類だろう、と見ると急につまらなくなるが、私にはやはりそう映った。


 とはいえ、照ノ富士の大関昇進は順当なところ。白鵬に次ぐ地力を持っていることは間違いないわけで、素直に新大関の誕生を祝いたい。初々しい優勝インタビューをスクラップ。

 

照ノ富士、日馬の援護射撃「涙が出そう」一問一答ニッカン

 

-初優勝、おめでとうございます

照ノ富士 ありがとうございます。

-初めて抱いた賜杯の感触は

照ノ富士 とても、うれしかったです。

-重みは感じましたか

照ノ富士 相当、重かったです。

-結びの一番、部屋の横綱(日馬富士)が白鵬関を倒した。どんな思いでみていたか

照ノ富士 自分は自分の目標として、今年中に大関になろうと決めていた。その目標に近づくことが出来たと思います。これからも頑張りたいです。今日の一番は(日馬富士に)何とか勝ってもらいたいなという気持ちで、でも自分ではもう1番勝つつもりで、やるつもりで待っていました。

-日馬富士関が(支度部屋で)テレビを見上げている中で勝ちました

照ノ富士 涙が出そうになりました。

-大関昇進が確実になった

照ノ富士 ありがとうございます。

-年内に達成という目標が、達成されました

照ノ富士 (笑い) 

-今日は碧山関との対戦だった。堅さがみられなかった

照ノ富士 もちろん自分の中では緊張していましたが、それを乗り越えて頑張ろうと、気持ちを入れ替えてやりました。

-「良くやった」と会場から声がありました

照ノ富士 ありがとうございます。

-4年前に日本にやってきました。モンゴルで見ていた大相撲はどのように映っていた

照ノ富士 自分は15歳の時から相撲を見て、自分で相撲をやりたいと思って、日本に来た。このように優勝するって夢みたいなことだったので、自分でそれ(賜杯)をもらっているのは夢みたいなことです

-(会場のファンから)「あんたはエライ!」の掛け声

-部屋の師匠や関取衆も後押ししてくれた

照ノ富士 日本に行くときから…。(言葉にならず)緊張してあまり…すみません。

-相撲より(優勝インタビューは)緊張している

照ノ富士 そうですね。

-感謝の気持ちを改めて

照ノ富士 まずお母さん、お父さんに感謝の気持ちでいっぱいです。そしから応援してくれる方々、そして親方、おかみさん、部屋の皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。

-来場所から大関。どんな大関になりたいか

 照ノ富士 頑張ります。エヘヘ

-その笑顔は(大関での奮起を)物語っていると思っていいか

照ノ富士 はい

-強い大関、横綱を目指して下さい

照ノ富士 頑張ります。

 白鵬のこなれたインタビューに食傷気味だった側からすれば、フレッシュで好感のもてるやり取りだった。 


いよいよ白鵬の時代も終わりか、と思わせた今場所。確かに目に見えて地力は落ちてきた。それでも周囲とは相変わらず雲泥の差がある。モチベーションを失わない限り、覇権はまだ続くように思う。

 

白鵬の凋落振りより顕著なのは、むしろ日馬富士や大関3人の方だろう。みな勤続疲労が目立ち、この先今の地位をどれだけ保てるか、どうにも心許ない。当分白鵬が青息吐息ながらも再び優勝を重ね、彼と照ノ富士以外の横綱大関は徐々に姿を消していくのかもしれない。日本人の大関候補が欲しいが、これはという人もまだいない。遠藤はいずれなるかも知れないが、時間がかかりそうだ。1年ぐらい経つと、上位の番付は今より閑散としたものになるのではあるまいか。

 

キセ頑張れと書きたいが…書きたいのだが…

 

  

十四日目

宝富士が勝ち越し、されど混沌の三役争い

 

○宝富士<東前一・8-6>(したてなげ)隠岐の海<西前十・9-5>●

立って左四つ、先に上手を引いたのは隠岐の海。宝富士はやや半身でじっと我慢。隠岐の海じっくりと体勢を整え、いざ勝負と西土俵へ攻め込むところ、宝富士腰を振って上手を切り、左からの下手投げに屠る。

 

宝富士は筆頭で初めての勝ち越し。悲願の新三役がぐっと近づいた。勝った瞬間天を仰ぎ、チラと笑顔を見せる。花道奥では反り返って「ううー、ようやくだ!」と喜んだらしい。あの初場所の悪夢を見事葬った。おめでとう宝富士!

 

と言いたいところだが、現実は厳しい。この日同じく三役を狙う西の筆頭栃ノ心も、魁聖を寄り切って勝ち越しを決めた。一方で三役残留を図る東小結栃煌山は德勝龍を下し7勝7敗に踏みとどまる。西小結逸ノ城も勢を下しやはり7勝目。西関脇妙義龍は照ノ富士に敗れ負け越しが確定したが、千秋楽に勝てばまだ小結には引っかかる星取りだ。

 

果たして来場所の三役枠はいくつ空くのか。ここへ来て東関脇照ノ富士に大関昇進の可能性も再浮上しており、状況は混沌としている。宝富士にとって最悪のシナリオは、照ノ富士が関脇に残り、妙義龍が負け越し1点、両小結が勝ち越しを決めるというもの。枠の空きがゼロとなり、当人が千秋楽に敗れて8勝止まりなら、筆頭据え置きの事態もある。しかし9勝目を上げれば、さすがに審判部も張出枠を考えるはずだ。

 

楽日が勝負となる。相手は東十枚目で10勝と好調の右差し勢。ガチガチの左四つである宝富士とはまさにケンカ四つの相手だが。さてどうなるか。


白鵬が3敗目

 

 ●白鵬<東横綱11-3>(つきおとし)稀勢の里<東大関10-4>○

立ち合い白鵬右で張って二本のぞかせ、西土俵へ一気に走る。稀勢の里下がりながら左を巻き替えにいくも叶わず、土俵際右から押しつぶすように突き落とせば、白鵬土俵に這う。

 

互いに調子を落としているとはいえ、ここ数場所の内容から白鵬の一方的な勝利に終わるかと思われた。しかしマワシも引かず体勢は不十分なまま、出足に任せた乱暴な相撲で墓穴を掘った。稀勢の里は仕切りの際、緊張したときに見せる頻繁な瞬きの癖もこの日はなかった。勝負のあとも落ちついた様子。いつもこうならいいのだが…と何度書いたことだろう。


 十四日目終えて3敗で白鵬と照ノ富士が並んだ。4敗で続くのが日馬富士、稀勢の里、高安、勢、魁聖、嘉風。3敗の2人が揃って千秋楽に敗れれば、4敗の力士にも賜杯の可能性がないでもない。しかしあまり考えられないことだ。

 

楽日照ノ富士は碧山、白鵬は日馬富士と割が組まれた。日馬富士は先場所同様、弟弟子のアシストに挑むこととなる。まして先に取る照ノ富士が勝っていれば、自身の勝利一発で賜杯の行方が決まる。しかし今場所の体調ではどこまでやれるか、心もとない。

 

ただ照ノ富士にとって追い風なのは、ここへ来て大関昇進の話が再び出てきたことだろう。

照ノ富士が優勝で大関昇進へニッカン

大相撲夏場所で、横綱白鵬(30=宮城野)と並んで11勝でトップに立つ関脇照ノ富士(23=伊勢ケ浜)の大関とりについて、昇進問題を預かる日本相撲協会審判部は千秋楽の24日、照ノ富士が初優勝した場合に、昇進を諮る臨時理事会の招集を北の湖理事長(元横綱)に要請することを決めた。

本割(碧山戦)での勝ち負けにかかわらず、決定戦に回ったとしても優勝を果たせば、新大関誕生の運びとなる。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「決定戦に回っても、優勝すれば招集していただこうと決めた。優勝というのは重いということです。ほぼみんなの総意です」と明かした。

横綱や大関への昇進がかかる力士が出ると、白鵬は空気を読むのか本気になれないのか、若干力を落とす。これはひょっとしたことになるかもしれない。

 

十三日目

宝富士勝ち越しにリーチ

 

○宝富士<東前一・7-6>(こてなげ)豊ノ島<東前二・4-9>●

立ち合い豊ノ島得意の二本差し、しかし出足に優る宝富士、両腕で挟みつけて構わず前へ出ると、左へ回り込む相手を正面に攻め立て、左小手投げで仕留める。

 

相手十分の形になりかかったが、マワシに拘らず出足で持って行った宝富士。同じ部屋の照ノ富士も、十日目に同じ相手を同じような相撲で破っている。「宝関、今場所の豊ノ島なら極めて行けますよ」そんなアドバイスが照ノ富士からあったかどうか。妄想をたくましくしてしまう。

 

これで勝ち越しにリーチがかかった。十四日目の相手は西の十枚目で9勝と大勝ちしている隠岐の海。左の相四つで相撲の長い相手だけに、互いに下手を差してじっくり上手を探りあう展開か。好勝負の予感もある。

 

気になる宝富士新三役の可能性。十三日目を終えて西関脇妙義龍、東小結栃煌山、西小結逸ノ城がいずれも6勝7敗とあとの無い星取り。宝富士にはチャンスの芽が広がってきた。しかし西筆頭の栃ノ心も7勝6敗と、宝富士同様勝ち越しまであと一つに迫っている。仮に星が同点となれば、直接対決に勝った栃ノ心が昇進は優先されよう。宝富士は残り2日白星をならべ9勝6敗とすれば、栃ノ心の星如何ではあるが可能性はより高くなる。


 魁聖が3敗に後退

 

●魁聖<東前十一・10-3>(うわてなげ)豪栄道<西大関8-5>○

立ち合い豪栄道右へ変化。魁聖面食らいつつも向き直って右四つ。魁聖得意の左上手を引くが、豪栄道とっさに左へ回り込んでこれを切り、白房土俵上手投げで転がす。

 

今場所は平幕下位で大勝ちの魁聖。場所によって出来不出来に波のある人だが、今回は随分と大波に乗っている。白鵬と並び優勝争いトップということで、終盤に急遽大関戦が組まれた。豪栄道の左変化は予想していても、右変化はさすがに頭に無かった様子。相手のペースでいいようにあしらわれた。

 

それにしても大関が平幕相手に逃げてはみっともないな、と感じたが、一夜明けてこんなニュースが。

豪栄道が左肩骨折で休場 白鵬破った一番で負傷 

大相撲の西大関豪栄道(29=境川)が夏場所14日目の23日、「左肩峰剥離骨折で約4週間の加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。13日目(22日)に勝ち越しを決めている。

師匠の境川親方(元小結両国)によると、12日目(21日)に横綱白鵬を首投げで破った一番で負傷したという。親方は「左肩は2カ所で亀裂骨折している。13日目から相撲を取れる状態ではなかった。今は治療に専念するしかない」と述べた。豪栄道は場所前から右肩痛も抱えていた。(後略)

 白鵬戦で7勝までこぎつけたところで、このまま休場し来場所カド番を迎えるよりは、勝ちにこだわった相撲で地位の安泰を確保してから休みたかったのだろう。場所前は右肩を痛め、今度は左肩。体の小さなこの人にとって大関の看板は荷が重すぎたようだ。


3敗の稀勢の里は日馬富士にあっさり撃沈

 

●稀勢の里<東大関9-4>(はたきこみ)日馬富士<西横綱9-4>○

立ち合い日馬富士低く当たり、左ノド輪に行くと見せてその手を首にひっかけ左へ回り込めば 、稀勢の里西土俵下へ転げ落ちる。

 

白鵬、魁聖に星の差一つでつけていた稀勢の里。初優勝のチャンスと報じられてはいたが、今場所の悪い内容を見る限り可能性は低いように思われた。この日も、ここまで金星三つ献上と不調の日馬富士の攻めすら残せず惨敗。下半身が思うように動かないのだろう。

 

今場所は横綱大関陣の衰えがひどく目立つ。日馬富士は足首の状態もあってか相撲が軽い。稀勢の里は相手の攻めに押し込まれる場面が多い。琴奨菊はこれまで負けるなら前に落ちるのがもっぱらだったのが、最近は後ろに下がって敗れることも珍しくなくなった。豪栄道は昇進してさほど時間は経っていないが、すでに前述のとおり満身創痍の状況。白鵬も優勝こそ逃さないだろうが、地力が落ちていることは否めない。1年くらい経てば、顔ぶれはだいぶ変わりそうな雰囲気だ。


 白鵬は琴奨菊をあっさり上手投げに下し、結局単独トップに。3敗で照ノ富士、平幕の勢、魁聖。

十二日目

宝富士、星を五分に戻す

 

○宝富士<東前一・6-6>(つきおとし)臥牙丸<東前六・5-7>●

宝富士立ち合い左差しを狙うが、臥牙丸右おっつけで阻み青房に押し込む。しかし宝富士余裕をもって残し、右へ回り込んで正面で右から突き落とす。

 

宝富士は過去5戦5勝の相手を落ち着いて捌いた。これで6勝6敗。新三役を目指す残り3日。2勝1敗で勝ち越し1点なら悲願達成…となるべきところ。しかし今場所の三役陣はしぶとく、東関脇照ノ富士は9勝3敗ですでに残留が確定。西関脇妙義龍は5勝7敗だが、この日は横綱日馬富士を破り崖っぷち踏みとどまっている。東関脇栃煌山も5勝7敗で奮闘中。西小結逸ノ城は宝富士同様6勝6敗。枠が空くとすれば一つか二つ程度だろう。栃煌山の頑張り次第では、勝ち越しながら筆頭据え置きという事態も考えられなくはない。

 

まあ余計なことは考えず、当人の健闘を祈ろう。しかし西筆頭で栃ノ心も6勝6敗なのだよな。…いや余計なことは考えまい。


照ノ富士、左四つで稀勢の里に勝利

 

 ●稀勢の里<東大関9-3>(したてなげ)照ノ富士<東関脇9-3>○

照ノ富士鋭く当たって右をのぞかせ向上面に走れば、稀勢の里は土俵際何とか踏みとどまり左を差して残す。土俵中央互いに左を差し上手を伺うと、先に引いたのは稀勢の里、西土俵に寄りたてるが、照ノ富士右足を引いて下手投げで逆転。

 

いつも深い稀勢の里の右上手だが、照ノ富士を相手にするとその欠点が毎回ことさら目立つ。この日も結び目に近い位置を引いてしまい、左の強い照ノ富士に豪快な投げを許した。


 豪栄道の首投げで白鵬2敗目

 

●白鵬<東横綱10-2>(くびなげ)豪栄道<西大関7-5>○

立ち合い豪栄道飛び込んでいくが、白鵬双手突きから右へいなす。しかしこれは読んでいた豪栄道、すぐに踏みとどまって一瞬見合い、再び飛び込むところ白鵬東土俵に突いて出れば、豪栄道右を首にまいて左から突き落としをはかる。チャンスと白鵬左を差して土俵際まで攻め込み体を預けるが、豪栄道倒れ込みながら捨て身の首投げ。赤房下ほぼ同時に落ちたが、白鵬の右肘が一瞬早く土俵に着いた。

 

引き技から首投げと豪栄道の一番悪いクセが出たが、それだけに白鵬も甘く見たのだろう。これはもらった、と体勢不十分なまま安易に体を預けてしまった。

 

 


 十二日目終えて2敗白鵬、魁聖。3敗稀勢の里、照ノ富士、ほか平幕4人。