新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

いつかウサギを抜く日

秋場所の見所、となると遠藤や大砂嵐もいいが、
やっぱり期待してしまうのが稀勢の里。

綱とりは白紙にもどった。
それでも大関陣のなかでは、ここ数場所もっとも高い勝率を誇っている。

今年4場所の平均勝ち星を見ると、
稀勢の里11勝、鶴竜と琴奨菊が9勝、琴欧洲は休場も負けとカウントすれば7勝。
現状いちばん横綱に近い力士であることは間違いない。

悲願の賜杯もメンタルの弱さゆえ、当分難しそうだ。
しかし終盤までできるかぎり戦線に残って、優勝争いの経験値を着実に積み上げていくこと。
それが一年、二年経って生きてくるはずだ。

そんな悠長なこと言ってられないという向きもあるだろう。
だけど。

平成16(2004)年の新入幕以来、なにしろこの人は大関に上がるまで丸7年を要したのだ。
同じ年に入幕した白鵬が2年、日馬富士が4年でさっさと駆け上がったところを、
モタモタと、だけど一途に精進してようやく這い上がってきた。

幕内最高優勝にいたっては、白鵬が入幕から2年、日馬富士が4年半で達成しているというのに、
われらが稀勢の里は9年経っても未だ賜杯バージンのまま。

モンゴルの両横綱をウサギとすれば、稀勢の里はカメになるだろう。
今は亡き先代の鳴戸親方からおくられた
「稀レナ勢イ」の四股名のまるで逆をいく相撲人生になっている。

それでも愚直なまでに稽古に励み、やっとここまで来た。
いつかカメがウサギを抜き去る日を、僕は心待ちにしている

…なんてね。