新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

十一日目

前半の常幸龍−琴勇輝戦。
常幸龍が右を差して寄りきり、難なく勝ったが、
勝負が決まった直後、琴勇輝は土俵上でひざまずいて動けなくなってしまった。

自力で動くこともままならないようで、けっきょく車椅子で運ばれていった。
どうやら首をいためたらしい。
もともと悪いらしいが、今回の取り組みでまた悪化したようだ。
ちょっと心配。
相手の常幸龍も勝ち名乗りを受けながら、だいぶ気になるようすだった。

常幸龍は昨日の嘉風戦でも相手が負傷してしまい、
ついでに投げた相手の足が行司にあたって行司も負傷してしまいで、
連日取組後オロオロしている。

そんな十一日目。



ルーキー遠藤、勝ち越しをかけてベテラン39歳の旭天鵬に挑戦。
この人が土俵に上がると途端に場内の雰囲気が変わるのが、
テレビ桟敷からもよく分かる。

簡単にいえば「華がある」ということなのだが。
当然それだけではなく。

朝青龍時代以来つづいてきた、モンゴル勢の支配への閉塞感。
それを打ち破る日本人がようやく出てきた、という期待も相当にある。

ただその期待は、これまで相撲ファンが稀勢の里や豪栄道や栃煌山にかけてきたものでもある。
しかし(今のところ)彼らはその期待に応えられていない。

しかし遠藤はモノが違う、いや違っていて欲しい、
てか違うことをお願いだから証明してくれ、
そんな思いが連日の大歓声なのだろう。

○遠藤<東前頭十三・8−3>(うわてなげ)旭天鵬<西前頭六・7−4>●

立ち合い旭天鵬両差しをねらうが、
遠藤踏み込み鋭く、右の前ミツ引いて左もさしていい格好。

ならばと旭天鵬右から引っ張り込もうと右足を引いた瞬間、
(と取組後本人のコメントがあった)
遠藤タイミングよく左から上手投げ、土俵のど真ん中で見事に決まる。

横ミツではなく前ミツから投げたので、
裏返すというより大車輪を回すような形で投げが決まった。
これで新入幕勝ち越し。お見事。



結びで妙義龍が白鵬に挑戦。

○白鵬<東横綱10−1>(こてなげ)妙義龍<東関脇5−6>●

両差し狙いの妙義龍、
立ち合いよく当たって右を差し、白鵬に上手も与えず、
左は白鵬の差し手をしっかりおっつけていい格好。

窮屈になった白鵬、突き起こしていったん離れ、
右四つに組もうとするが、再度同じ形で妙義龍に阻まれる。

しかし妙義龍も左が入りにくいとみたか、
右を抜いていったん離れ、今度はとうとう両差しに成功。
頭もつけて、いけるか、と思いきや。

横綱かんぬきを決めるように両腕からぐいっと引っ張り込み、
妙義龍の上体を起こしてしまうと、
右からの小手投げで妙義龍を裏返しに。

妙義龍は相当うまく攻めたと思うのだが…
この日向正面解説、
前髪をおろしてすっかり可愛らしくなった普天王の稲川さんも、
「二本入っても勝てないんですからねえ〜」と
横綱の強さにあきれた様子。

昨日は豪栄道にかなり油断した相撲で敗れたが、
さすがに地力は群を抜いている。



日馬富士は立ち合い、出足、全てよい相撲で、昨日白鵬に殊勲の豪栄道を退け2敗をキープ。
稀勢の里も魁聖をやぶり2敗キープ。

残り四日、白鵬に一差で、稀勢の里にも優勝の芽はあるが…
いやどうせまた期待は裏切られるのだ、自重自重。