新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

十一日目

逸ノ城、大関相手に注文相撲

○逸ノ城<東前十・10−1>(はたきこみ)稀勢の里<西大関7−4>●

立ち合い二度不成立。
いずれも稀勢の里が立ち渋る。
三度目で両者立つ。

逸ノ城立ち合い左に変わり、
右から稀勢の里の首を抱えて叩けば、
稀勢の里あっさり土俵中央に這う。

大いに盛り上がっていた館内の空気は、勝負のついた瞬間一気に微妙なものに。初土俵から5場所目での大関戦勝利は、史上単独1位の最速記録。ということだがこの内容では誰しもため息をつくしかない。

稀勢の里は仕切りからかなり緊張気味の表情で、おなじみの瞬きが頻繁。逸ノ城は逆に泰然とした様子で、どちらが大関か分からず。不成立となった2度の立ち合い、逸ノ城はまっすぐ当たってみせたが、3度目に至って、ならば前の2回を布石に変化してやろうと目論んだらしい。カチカチの稀勢の里はこれに簡単にはまってしまった。

稀勢の里はこの日から左肩に大きなテーピングも。あまり白い物を巻かない人だけに、よほど悪いのかといささか心配でもある。9日目からこれで勝ち越しリーチのまま3連敗、7勝4敗の星取り。12日目は結びで白鵬戦が組まれたが、この調子ではあまり期待できない…と思わせておいて人が変わったような相撲を見せるのもまた稀勢の里らしさだ。少しは存在感を示してほしい。



不戦勝で怒声のとぶ遠藤人気

○遠藤<西前筆頭2−9>(不戦)千代大龍<西小結1−10>●

千代大龍が右ひざの靭帯を痛め、この日から休場。割の組まれていた遠藤は勝ち名乗りだけ受けてさっさと引き上げる。

知らずに来ていたお客さんたちが多かったらしく、アナウンスの瞬間場内は「えーっ」というお怒り気味の声で満ちる。高いチケットを前売りで購入し、何日もこの日を楽しみにしてきた人たちには気の毒だった。千代大龍のケガの多さはどうにかならないものか。

それにしても不戦勝でこれだけ不満の声があがるというのも、また遠藤の人気ぶりを物語る。



白鵬は豪風を、鶴竜は豪栄道をそれぞれ引き技で下し安泰。全勝白鵬、1敗鶴竜と逸ノ城。

豪栄道は連敗で6勝5敗。琴奨菊は5日目から3連敗のあと、8日目から開き直った相撲振りで4連勝し7勝4敗、勝ち越しまであとひとつ。



両横綱の相撲も今日はあっさりとした引き叩き。逸ノ城は注文相撲、遠藤は不戦勝、お目当ての取組がいずれも観客に肩すかしを喰らわせるもので、この日見に来た人は気の毒だった。十日目から十三日目あたりは力士もスタミナ切れを起こすのか、割にこうあっさりした勝負が多くなるのが常ではある。しかし序盤中盤と好勝負が頻出した場所だっただけに、今日は残念。