新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

十四日目

宝富士が勝ち越し、されど混沌の三役争い

 

○宝富士<東前一・8-6>(したてなげ)隠岐の海<西前十・9-5>●

立って左四つ、先に上手を引いたのは隠岐の海。宝富士はやや半身でじっと我慢。隠岐の海じっくりと体勢を整え、いざ勝負と西土俵へ攻め込むところ、宝富士腰を振って上手を切り、左からの下手投げに屠る。

 

宝富士は筆頭で初めての勝ち越し。悲願の新三役がぐっと近づいた。勝った瞬間天を仰ぎ、チラと笑顔を見せる。花道奥では反り返って「ううー、ようやくだ!」と喜んだらしい。あの初場所の悪夢を見事葬った。おめでとう宝富士!

 

と言いたいところだが、現実は厳しい。この日同じく三役を狙う西の筆頭栃ノ心も、魁聖を寄り切って勝ち越しを決めた。一方で三役残留を図る東小結栃煌山は德勝龍を下し7勝7敗に踏みとどまる。西小結逸ノ城も勢を下しやはり7勝目。西関脇妙義龍は照ノ富士に敗れ負け越しが確定したが、千秋楽に勝てばまだ小結には引っかかる星取りだ。

 

果たして来場所の三役枠はいくつ空くのか。ここへ来て東関脇照ノ富士に大関昇進の可能性も再浮上しており、状況は混沌としている。宝富士にとって最悪のシナリオは、照ノ富士が関脇に残り、妙義龍が負け越し1点、両小結が勝ち越しを決めるというもの。枠の空きがゼロとなり、当人が千秋楽に敗れて8勝止まりなら、筆頭据え置きの事態もある。しかし9勝目を上げれば、さすがに審判部も張出枠を考えるはずだ。

 

楽日が勝負となる。相手は東十枚目で10勝と好調の右差し勢。ガチガチの左四つである宝富士とはまさにケンカ四つの相手だが。さてどうなるか。


白鵬が3敗目

 

 ●白鵬<東横綱11-3>(つきおとし)稀勢の里<東大関10-4>○

立ち合い白鵬右で張って二本のぞかせ、西土俵へ一気に走る。稀勢の里下がりながら左を巻き替えにいくも叶わず、土俵際右から押しつぶすように突き落とせば、白鵬土俵に這う。

 

互いに調子を落としているとはいえ、ここ数場所の内容から白鵬の一方的な勝利に終わるかと思われた。しかしマワシも引かず体勢は不十分なまま、出足に任せた乱暴な相撲で墓穴を掘った。稀勢の里は仕切りの際、緊張したときに見せる頻繁な瞬きの癖もこの日はなかった。勝負のあとも落ちついた様子。いつもこうならいいのだが…と何度書いたことだろう。


 十四日目終えて3敗で白鵬と照ノ富士が並んだ。4敗で続くのが日馬富士、稀勢の里、高安、勢、魁聖、嘉風。3敗の2人が揃って千秋楽に敗れれば、4敗の力士にも賜杯の可能性がないでもない。しかしあまり考えられないことだ。

 

楽日照ノ富士は碧山、白鵬は日馬富士と割が組まれた。日馬富士は先場所同様、弟弟子のアシストに挑むこととなる。まして先に取る照ノ富士が勝っていれば、自身の勝利一発で賜杯の行方が決まる。しかし今場所の体調ではどこまでやれるか、心もとない。

 

ただ照ノ富士にとって追い風なのは、ここへ来て大関昇進の話が再び出てきたことだろう。

照ノ富士が優勝で大関昇進へニッカン

大相撲夏場所で、横綱白鵬(30=宮城野)と並んで11勝でトップに立つ関脇照ノ富士(23=伊勢ケ浜)の大関とりについて、昇進問題を預かる日本相撲協会審判部は千秋楽の24日、照ノ富士が初優勝した場合に、昇進を諮る臨時理事会の招集を北の湖理事長(元横綱)に要請することを決めた。

本割(碧山戦)での勝ち負けにかかわらず、決定戦に回ったとしても優勝を果たせば、新大関誕生の運びとなる。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「決定戦に回っても、優勝すれば招集していただこうと決めた。優勝というのは重いということです。ほぼみんなの総意です」と明かした。

横綱や大関への昇進がかかる力士が出ると、白鵬は空気を読むのか本気になれないのか、若干力を落とす。これはひょっとしたことになるかもしれない。