新型犬型相撲日録

元木村山の前髪

千秋楽

宝富士が9勝目、来場所の新三役は確定的

 

○宝富士<東前一・9-6>(よりきり)勢<東前十・10-5>●

宝富士左、勢右のケンカ四つ。立ち合い激しい差し手争いから勢右でかっぱじくも、宝富士左を差し勝ち、下手を引いて向正面に寄り立てる。勢俵に詰まりながら右へ叩くが、宝富士腰を落としてよく残し白房に寄り切る。

 

出足に優った宝富士が、逃げ回る勢を難なくしとめた。これで宝富士は9勝6敗。気になる三役昇進だが、決定したとみていいだろう。この日は結局東関脇照ノ富士が大関昇進を決め、西関脇妙義龍は高安を下し負け越し1点。東西の小結栃煌山、逸ノ城が共に白星で勝ち越し1点。西筆頭栃ノ心も勝って宝富士同様勝ち越し3点となった。

 

来場所は関脇に栃煌山、逸ノ城。小結に宝富士、栃ノ心。この2人に敗れている妙義龍の落ち加減は読めないが、張出小結、もしくは東筆頭あたりか。いずれにせよ宝富士の新小結は確定的だろう。


 照ノ富士は碧山を下し12勝目、兄弟子のアシストを待つ

 

○照ノ富士<東関脇12-3>(よりきり)碧山<西前六・9-6>●

照ノ富士立ってすぐ右下手を引いて前へ出れば、碧山右へ回り込み逃れようとするも、照ノ富士左おっつけから上手も引いて捕まえ、東土俵に寄り切る。

 

白鵬と3敗で並ぶ照ノ富士は、勝てば最低でも決定戦、さらに大関取りに持ち込める状況。負けてしまえば不調の日馬富士にすべてを託すしかない。重圧のかかるシチュエーションだが、仁王のような顔で仕切りを続け、自分の相撲を取り切って完勝。つくづく肝っ玉が据わっている。

 

日本人の力士にこんな人は中々…と考えたくもなるが、ファンのプレッシャーをもろに受ける日本人に比べ、所詮俺たちヒール役、と開き直れる強みもモンゴルの力士にはある。そう思うとモンゴル勢の覇権が永遠に続いてしまうような。


 日馬富士の援護射撃で照ノ富士の優勝が決まる

 

●白鵬<東横綱11-4>(よりたおし)日馬富士<西横綱11-4>○

立ち合い日馬富士左前ミツを引くが、白鵬突きたてながらこれを切り、そのまま西土俵に攻めこむ。日馬富士追い詰められた土俵際、突如かがみ込んで伸びあがるように白鵬のふところに飛び込むと、右差し左前ミツで食い下がる絶好の体勢に。一呼吸おいて左をさらに浅く取り直し、白鵬の右差しを徹底的に封じると、正面に出て寄り倒す。

 

日馬富士が白鵬を4敗に引きずり降ろし、弟弟子に初優勝と大関昇進をプレゼントした。先場所もこの2人の相撲は、途中までほぼ同じような内容だった。違ったのは食い下がられた白鵬が右をのぞかせ、半身で堪え持久戦に持ち込んだ点。今回日馬富士の左の攻めは徹底しており、前回の轍は踏むまいとの思いが感じられた。

 

もっとも野暮を承知で書けば、横綱や大関への昇進がかかる力士が現れると、急に力を落としたような相撲を取るのは白鵬によくあることだ。今回もその類だろう、と見ると急につまらなくなるが、私にはやはりそう映った。


 とはいえ、照ノ富士の大関昇進は順当なところ。白鵬に次ぐ地力を持っていることは間違いないわけで、素直に新大関の誕生を祝いたい。初々しい優勝インタビューをスクラップ。

 

照ノ富士、日馬の援護射撃「涙が出そう」一問一答ニッカン

 

-初優勝、おめでとうございます

照ノ富士 ありがとうございます。

-初めて抱いた賜杯の感触は

照ノ富士 とても、うれしかったです。

-重みは感じましたか

照ノ富士 相当、重かったです。

-結びの一番、部屋の横綱(日馬富士)が白鵬関を倒した。どんな思いでみていたか

照ノ富士 自分は自分の目標として、今年中に大関になろうと決めていた。その目標に近づくことが出来たと思います。これからも頑張りたいです。今日の一番は(日馬富士に)何とか勝ってもらいたいなという気持ちで、でも自分ではもう1番勝つつもりで、やるつもりで待っていました。

-日馬富士関が(支度部屋で)テレビを見上げている中で勝ちました

照ノ富士 涙が出そうになりました。

-大関昇進が確実になった

照ノ富士 ありがとうございます。

-年内に達成という目標が、達成されました

照ノ富士 (笑い) 

-今日は碧山関との対戦だった。堅さがみられなかった

照ノ富士 もちろん自分の中では緊張していましたが、それを乗り越えて頑張ろうと、気持ちを入れ替えてやりました。

-「良くやった」と会場から声がありました

照ノ富士 ありがとうございます。

-4年前に日本にやってきました。モンゴルで見ていた大相撲はどのように映っていた

照ノ富士 自分は15歳の時から相撲を見て、自分で相撲をやりたいと思って、日本に来た。このように優勝するって夢みたいなことだったので、自分でそれ(賜杯)をもらっているのは夢みたいなことです

-(会場のファンから)「あんたはエライ!」の掛け声

-部屋の師匠や関取衆も後押ししてくれた

照ノ富士 日本に行くときから…。(言葉にならず)緊張してあまり…すみません。

-相撲より(優勝インタビューは)緊張している

照ノ富士 そうですね。

-感謝の気持ちを改めて

照ノ富士 まずお母さん、お父さんに感謝の気持ちでいっぱいです。そしから応援してくれる方々、そして親方、おかみさん、部屋の皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。

-来場所から大関。どんな大関になりたいか

 照ノ富士 頑張ります。エヘヘ

-その笑顔は(大関での奮起を)物語っていると思っていいか

照ノ富士 はい

-強い大関、横綱を目指して下さい

照ノ富士 頑張ります。

 白鵬のこなれたインタビューに食傷気味だった側からすれば、フレッシュで好感のもてるやり取りだった。 


いよいよ白鵬の時代も終わりか、と思わせた今場所。確かに目に見えて地力は落ちてきた。それでも周囲とは相変わらず雲泥の差がある。モチベーションを失わない限り、覇権はまだ続くように思う。

 

白鵬の凋落振りより顕著なのは、むしろ日馬富士や大関3人の方だろう。みな勤続疲労が目立ち、この先今の地位をどれだけ保てるか、どうにも心許ない。当分白鵬が青息吐息ながらも再び優勝を重ね、彼と照ノ富士以外の横綱大関は徐々に姿を消していくのかもしれない。日本人の大関候補が欲しいが、これはという人もまだいない。遠藤はいずれなるかも知れないが、時間がかかりそうだ。1年ぐらい経つと、上位の番付は今より閑散としたものになるのではあるまいか。

 

キセ頑張れと書きたいが…書きたいのだが…